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短くわかる民事裁判◆
和解調書
 和解は、「調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」と定められています(民事訴訟法第267条)。
 和解が成立すると、書記官が和解調書を作成し、和解調書には書記官が記名押印し、裁判長が認印することとされています(民事訴訟規則第66条第2項)(民事訴訟法上の「裁判長」と「裁判所」の区別等が気になる方は「裁判長と裁判所」を見てください)。当事者には(代理人がついていれば代理人に)和解調書をコピーし、それに書記官が「これは正本である。」という認証文と書記官の記名押印をつけた「正本」が送達されます。※民事訴訟法、民事訴訟規則上、和解調書については裁判所が送達するという規定がないので、和解成立の際に書記官の面前で当事者(通常は原告代理人)が口頭で和解調書の送達を求めると述べ(書記官から送達申請しますねと聞かれる)、裁判所はそれを受けて送達しているという扱いです(1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(T)」372ページ、東京弁護士会機関誌での東京地裁交通部書記官の説明:記事の8ページ右側)。

 和解調書は、「和解調書」とか「弁論準備手続調書(和解)」等の表題で、1ページ目に、「事件の表示」(事件番号で特定)、「期日」(当該和解期日や弁論準備手続期日の年月日、開始時刻)、「場所等」(裁判所の「準備手続き室」とか「和解室」等:Web会議の場合、「(ウェブ会議の方法による)」と記載されます)、「裁判官」(当該期日に出席した裁判官名)、「裁判所書記官」(担当書記官名)、「出頭した当事者等」(出席した当事者及び代理人の肩書きと氏名:Web会議による参加者には「(同代理人事務所)(通話者の所在する場所の状況が手続を実施するために適切なものであることを確認した。)」という記載が付記されます)が記載され、和解調書では「手続の要領等」、弁論準備手続調書では「当事者の陳述等」という記載の下に「当事者間に次のとおり和解成立」と記載されます。
 その「次のとおり」部分は、「第1 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり」、「第2 請求の表示 請求の趣旨及び原因は訴状記載のとおり」(ただし、訴状の一部訂正申立書や訴えの変更申立書が出された場合は、それも引用:例えば「請求の趣旨及び原因は訴状及び訴状一部訂正申立書(令和○年○月○日付)のとおり」など)、「第3 和解条項 別紙和解条項記載のとおり」として、書記官が記名押印し、別紙当事者目録、別紙和解条項が綴られて、最後に認証用紙がついているという体裁がふつうです。

 和解調書は、早ければ和解成立の翌日くらい、遅ければ1週間後くらいにできあがり、和解日に、裁判所まで取りに行くと伝えていれば、できたという電話連絡があり、そうでなければ郵送されてきます。

 和解については「和解」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「和解」でも説明しています。
 

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