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短くわかる民事裁判◆
裁判長と裁判所
 民事訴訟法で、「裁判所」が行うことがらと「裁判長」が行うことがらが書き分けられていますが、裁判官が1人で担当する(この場合、裁判業界では裁判所が「単独体(たんどくたい)」であるなどといいます)単独事件の場合は、その1人の裁判官が「裁判所」であるとともに「裁判長」でもありますので、実際には当事者にとってはその区別に意味はありません(裁判所側は、その1人の裁判官が「裁判所」として発するときは「決定」、「裁判長」として発するときは「命令」と区別しますが)。裁判官が複数(通常は3人。5人などの例外があることは「合議事件と単独事件」で説明しています)で担当する(この場合、裁判業界では裁判所が「合議体(ごうぎたい)」であるなどといいます)合議事件の場合に、「裁判所」が行うべきことは3人の裁判官全員で行う(決定書に全員の名前を記す)必要があり、「裁判長」が行うべきことは裁判長1人で行う(命令書に裁判長のみの名前を記す)ことになります。

 民事訴訟法が「裁判長」が行うこととしているのは、訴状審査・訴状補正命令・訴状却下命令(その例としては「訴状に印紙を貼らなかったら:手数料不納付」を見てください。民事訴訟法第137条)、期日の指定(民事訴訟法第93条)、訴訟指揮(民事訴訟法第148条)、釈明権の行使(民事訴訟法第149条)、控訴状審査・控訴状の補正命令・控訴状却下命令(民事訴訟法第288条)などです。

 簡易裁判所ではすべての事件が単独事件で、最高裁判所及び高等裁判所ではすべての事件が合議事件です。地方裁判所(と家庭裁判所)では単独事件も合議事件もありますが、どのような場合に合議事件になるかについては、「合議事件と単独事件」で説明しています。

 訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
  

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