◆短くわかる民事裁判◆
和解条項:一括払いの過怠約款
被告から一括払いで支払を受ける和解をするとき(その基本的な支払の条項は「和解条項:一括払いの基本条項」で説明しています)、被告が約束通り支払わなかったときに備えて、というか被告に支払の圧力をかけるために、期日に支払わなかったときには遅延損害金の支払いをさせる条項を設けることがあります。このような条項を、裁判業界では「過怠約款(かたいやっかん)」とか「懈怠約款(けたいやっかん)」呼んでいます。
例えば貸金請求訴訟や過払い金請求訴訟で和解するとき、被告が一括払いで支払う場合の金銭の支払いに関する和解条項に過怠約款をつけるときは、通常、次のようにします。
1.被告は、原告に対し、△△として、金○○円の支払い義務があることを認める。
2.被告は、原告に対し、前項の金員を、令和○年○月○日限り、○○銀行○○支店の原告代理人名義の普通預金口座(口座番号○○)に振り込む方法により支払う。ただし振込手数料は被告の負担とする。
3.被告が前項の支払を怠ったときは、被告は、原告に対し、既払額を控除した残額及びこれに対する令和○○年×月×日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金を直ちに支払う。
3項の×月×日は、2項の○月○日の翌日を入れます。
遅延損害金の利率は法的な制限があるわけではありませんが、高い利率を求めると裁判所と被告が難色を示し、通常は法定利率(現在は年3%)に落ちつくのがふつうです。
一括払いで和解するときは、ふつうは被告が遅れずに払ってくると期待できる場合ですから、通常は、気休めに過ぎず、私は近年は過怠約款は特に求めないことが多いです。
和解については「和解」でも説明しています。
モバイル新館の 「和解」でも説明しています。
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