◆短くわかる民事裁判◆
どの裁判所に提訴するか:管轄
訴えを提起する(訴状を提出する)際には、その事件に応じて、管轄(かんかつ)のある裁判所を選ぶ必要があります。管轄のない裁判所に(間違って)提訴した場合は、原則として、提訴を受けた(管轄のない)裁判所が管轄がある裁判所に移送(いそう)することになります。
管轄には、事件の種類によって、1審が地方裁判所(地裁:ちさい)か簡易裁判所(簡裁:かんさい)か家庭裁判所(家裁:かさい)かという問題と、どこの地域の裁判所かの問題があります。
前者のうち、家庭裁判所か地方裁判所かの問題は職分管轄(しょくぶんかんかつ)、地方裁判所か簡易裁判所かの問題は事物管轄(じぶつかんかつ)と呼ばれています。
後者は土地管轄(とちかんかつ)と呼ばれています。
1審の裁判は、民事裁判では、選挙の効力を争う行政訴訟(高等裁判所が1審を管轄)、公正取引委員会や特許庁の審決を争う行政訴訟(東京高裁が1審を管轄)以外は、すべて地裁か簡裁か家裁が管轄を持っていますので、通常、裁判を起こすときは地裁か簡裁か家裁の管轄を検討して提訴します。
1審の裁判(判決)に不服があって上訴(じょうそ)するときの管轄は、1審の裁判所によって自動的に定まり、上訴段階でどこの裁判所に上訴するかを選択することはできません。1審が簡易裁判所の事件の控訴(こうそ)はその簡裁の所在地を管轄する地方裁判所、その地裁の判決に対する上訴(上告:じょうこく)はその地裁の所在地を管轄する高等裁判所となります。1審が地方裁判所か家庭裁判所の事件の控訴はその地裁・家裁の所在地を管轄する高等裁判所、その高裁の判決に対する上訴(上告・上告受理申立て:じょうこくじゅりもうしたて)は最高裁判所に対して行います。
管轄についてはモバイル新館の 「どの裁判所に訴えるか」でも説明しています。
**_****_**