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短くわかる民事裁判◆
期日請書
 第1回口頭弁論期日が指定されると、原告側は裁判所に期日請書(きじつうけしょ)の提出を求められます。
 期日請書は、通常の記載例では、「頭書の事件について、口頭弁論期日を令和○年○月○日午前○時○分と指定告知されましたので、同日時に出頭します」とされます。(「頭書」は「あたまがき」と読みます。「出頭(しゅっとう)」が気になる方は「期日には出頭?出席?」をお読みください)

 裁判所が期日請書を求めるのは、期日に出席した当事者に裁判官が直接伝えた場合と呼出状(よびだしじょう)を送達(そうたつ)した場合以外のときです。
 それは、民事訴訟法が、上の2つの方法(呼出状を送達した場合と期日において告知した場合)以外の方法で期日を告知した場合には、その期日を欠席した当事者に欠席の不利益を帰する(きする:負わせること)ことができないと定めた上で「期日の呼び出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない」と定めている(民事訴訟法第94条第2項)からです。ここにいう「期日の呼出しを受けた旨を記載した書面」が期日請書なのです。

 第1回口頭弁論期日は、被告は期日呼出状の送達を受けますが、原告側はそれを受けませんので、裁判所は必ず期日請書の提出を求めるのです。少なくとも原告に代理人(弁護士)がついているときは、そういう扱いです。原告に代理人(弁護士)がついていない本人訴訟の場合、裁判所が原告側にも期日呼出状を送達する扱いとすることがあり、その場合は期日請書は要求されません
 第2回以降の期日は、基本的に毎回期日にその場で裁判官が次回期日を告知しますので、期日請書は不要です。ただし、欠席した場合や指定された期日が変更されて日程調整の上改めて指定される場合などは、期日請書の提出を求められます。その場合も、代理人(弁護士)がついていない当事者には、裁判所が期日呼出状を送達することが多く、期日呼出状が送達されるときは期日請書は要求されません。

 民事訴訟法がいう欠席の不利益(民事訴訟法の言葉では「法律上の制裁その他期日不遵守による不利益」)って何でしょう。日頃意識することはありませんが、提出した攻撃防御方法(主張や証拠)の趣旨が明瞭でないものについて説明すべき期日に欠席した場合はそれを却下(不採用に)することができる(民事訴訟法第157条第2項)とか、欠席した当事者は相手方の主張を認めたものとみなすことができる(民事訴訟法第159条第3項)とかの規定が適用されることが想定されているようです。

 訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「第1回口頭弁論まで」でも説明しています。
  

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