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短くわかる民事裁判◆
3号再審事由:不実の公示送達
 訴状記載の住所に訴状副本等を送達できないときに、原告が被告の住所を調査すれば容易に知り得たのに十分に調査せず、さらには本当は被告の住所・連絡先を知っているのに住所が知れないとして、訴状副本や判決正本が公示送達され、その結果、被告が訴え提起も判決も知らないまま判決が確定した場合に、後に被告が判決を知って再審請求した場合、3号再審事由に該当するでしょうか。
 最高裁1982年5月27日第一小法廷判決は、原告が被告の住所を知りながら公示送達の申立をして被告が欠席のまま勝訴の確定判決を得た場合であっても、3号再審事由には当たらないとしました(判決文からは事案がわかりませんが、判決要旨には「相手方の住所を知りながら公示送達の申立をし、相手方の欠席のまま勝訴の確定判決を得たとしても、民訴法420条1項3号の再審事由にあたらない。」と記載されています)(判決文、判決要旨が引用する民事訴訟法の条項は当時のもので、現在の民事訴訟法の条項とは違います)。

 補充送達(同居人への交付:民事訴訟法第106条第1項)がなされて、受領者が被告に渡さず、被告が訴状副本を見ていない場合については、最高裁は事情によっては(受領者が被告と法的な利害対立があって訴状の交付を期待できない場合)「受送達者は、その訴訟手続に関与する機会を与えられたことにならない」、「受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには、当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に扱う理由はないから、民訴法338条1項3号の再審事由がある」としています(「3号再審事由:利害対立のある同居人への訴状送達」で紹介しています)が、不実の公示送達の場合については、そのような姿勢は見せていません。
 最高裁は、不実の公示送達を救済すべき場合は、控訴期間経過後でも訴訟行為の追完により控訴を認める方向での解決を志向しているようです。→「訴訟行為の追完:不正な公示送達」で説明しています

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 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
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