◆短くわかる民事裁判◆
進行照会書
訴状に特段の問題がなく、または裁判所が問題と感じた点について補正がなされたり、補正すると約束したりあるいは問題ではないと裁判所が納得して決着すると、第1回期日の日程調整と進行についての意見照会がなされます。これは電話で済ますこともありますが、(弁護士には)FAXで来ることもあり、近時は、Web会議の意向の関係でFAXで送られてきて回答することが多くなっています。
東京地裁で用いられている進行照会書はこういうものです。
Web会議は、現在の運用では、原告と被告双方に弁護士の代理人がつかないとできないので、第1回期日は、まずは口頭弁論期日として法廷で行うという前提で決めざるを得ません(第1回口頭弁論期日を指定するのは、被告に訴状を送達する前ですから)。現在の裁判所は、できるだけWeb会議による弁論準備期日にしたいと考える傾向にあり、また被告から請求の趣旨に対する答弁(原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする)を書くだけで、その余は「追って主張する」という内容のない答弁書(業界では「3行答弁書」とも呼ばれています)が出るだけの期日は無駄だと考えています。そこで、原告側に、被告に代理人(弁護士)がついたら指定した第1回口頭弁論期日を取り消して、被告が内容のある答弁書を出せる時期に最初からWeb会議による弁論準備期日にすることに異議があるかを確認します。これを記録に残しておくために、その項目を含む進行照会書が作成され、FAX送信されてくるのです。
近時は、被告代理人がついたら第1回口頭弁論期日を取り消して最初から弁論準備期日で進行することについて異議があるか、その場合Web会議を希望するか裁判所に出頭することを希望するか、Web会議が可能か(Teamsが使えるか)の3点はほぼ必ず確認されます(私は、異議はない、相手がどうするか自由だが私は裁判所での出席を希望する、Teamsは使えると回答しています)。(「出頭」が気になる方は「期日には出頭?出席?」をお読みください)
さらには、電話や照会書で、訴え提起前の交渉の有無、交渉しているなら被告に弁護士が付いていたかも聞いてきて、場合によれば訴状送達前に裁判所が相手の弁護士に電話して受任するかを確認しようという前のめりの姿勢を示すこともあります。、
その結果、現在は、被告に代理人(弁護士)がついたところですぐ指定されていた第1回口頭弁論期日は取り消されて延期になり、それから1か月くらい先に弁論準備期日が指定され(期日請書を提出し)、そこから実質的に裁判が進行するのがふつうになっています。
訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
モバイル新館の 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
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