庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
費用計算書:官公署等からの書類取り寄せ費用
 訴え提起の際に、訴状とともに一定の書類の原本の提出を求められることがあります。法人が当事者の場合の法人登記簿現在事項証明書(法人登記簿謄本とか会社謄本)、未成年が当事者の場合の戸籍現在事項証明書(戸籍謄本)、成年被後見人が当事者の場合の後見人の登記事項証明書、不動産に関する訴訟の不動産登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書などです。

 これらの書類(官公署の証明書)については、その取得費用(発行手数料と取り寄せのための郵送料)を、訴訟費用額確定処分の申立てに際して作成する訴訟費用計算書計上することができます。

 訴訟費用として計上できるのは、訴え提起に際して裁判所がその添付を求めているものだけで、書証として提出するための証明書等は、対象になりません。
 例えば法人登記簿謄本を、訴状の送達先である現在の代表者を示すためではなく、一定の時期にその会社の本店がどこにあったとか、誰が役員だったなどの立証のために証拠として提出する場合は訴訟費用にはなりません。固定資産評価証明書を、その不動産の移転登記請求や明渡請求で訴額を示すためではなく、相手の資力等を立証するために証拠として提出する場合は訴訟費用にはなりません。

 訴訟費用として計上できる金額は、「当該官庁等に支払うべき手数料の額に交付1回につき第一種郵便物の最低料金の2倍の額の範囲内において最高裁判所が定める額を加えた額」です(民事訴訟費用法第2条第7号)。最高裁規則で定める額は、現在は、「法第2条第7号の最高裁判所が定める額は、第一種郵便物の最低料金の2倍の額(これを下回る額を告示で定めた場合にあつては、その額)とする。」とされています(民事訴訟費用規則第2条の3)。以前は官公庁に支払うべき手数料+160円とか164円とか168円とか、規則自体に書かれていたのですが、相次ぐ郵便料金値上げで面倒になったのでしょうか。ともかく、今は発行手数料+220円になります。
※訴訟費用額確定処分の申立てに際しては、費用額の裏付けとなる書類(規則の言葉では「疎明(そめい)に必要な書面」)を添付することとされています(民事訴訟規則第24条第2項)。それは、通常は、旅費の実費請求のときくらいしか求められず、これまで法人登記簿謄本は何も資料をつけず、600円(かつては700円とか)で認められているのですが、昨今はオンラインだと金額が違うとかさまざまな料金区分が出てきているので、将来はそれもいちいち資料を出すことになるのでしょうか。面倒な世の中だよねと、思ってしまいます。

 訴訟費用とその取り立てについては「訴訟費用の取り立て(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴訟費用の負担(訴訟費用の取り立て)」でも説明しています。
  

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話