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短くわかる民事裁判◆
送達受取人の届出
 民事裁判の当事者(原告、被告)が裁判所に送達場所(そうたつばしょ)の届出をする際には、送達場所とともに、送達受取人を届けることができます(民事訴訟法第104条第1項)。
 昼間に不在のことが多い当事者あるいは自宅に裁判書類を送られたくない当事者が、就業先での受け取りを好まず、昼間に在宅していることが多い親族・知人に裁判書類を受け取ってもらいたいというような場合を想定した制度です。不在連絡票と再配達指定が一般化した現在では、昼間に在宅しているかではなく、自宅に配達されたくない(同居の家族に知られたくない)という場合に利用されることになりそうです。

 自宅以外の場所を送達場所にする際には、その場所と当事者本人の関係を明らかにする事項を記載しなければならないとされています(民事訴訟規則第41条第3項)。送達受取人を届ける場合は、当事者本人との関係及びその送達場所が送達受取人の何に当たるか(自宅、勤務先等)の記載を要することになります。
 東京簡裁が公開している書式の記載例(こちら)では、同居の妻の記載例となっていますが、同居の家族以外を送達受取人にする場合(自宅なら再配達指定で夜間に受け取れる現在では、送達受取人を届けるのはそういうときだろうと思います)は、送達場所の届け出の「その他」欄にチェックして送達受取人の自宅とか勤務先などと記載した上で、送達受取人の氏名と関係を記載することになります。

 送達受取人の届出をすると、裁判書類は、判決書も含めて、すべて送達場所宛て、送達受取人宛の郵便等で送達されることになります。送達受取人が当事者本人に書類の受け取りを知らせず、書類を渡さなかった場合、本人が知らないうちに敗訴判決を受ける可能性が相当あり(途中から主張も立証もしなくなるわけですから、弁護士の感覚では、ふつう負けます)、判決書の受け取りも知らせなかったら控訴期間も過ぎて敗訴判決確定ということにもなりかねません。
 弁護士の立場からは、かなりリスキーな制度ですので、お勧めできません。利用する場合は、本当に信頼できる人を指名した上で、裁判の進行について頻繁に確認し、少しでも怪しいと思ったら裁判所に直接裁判の進行状況を問い合わせるべきだと思います。送達受取人が信頼できなくなったら、直ちに、送達場所・送達受取人の変更届(民事訴訟規則第42条)を裁判所に提出すべきです。

※2026年5月21日以降に提起された訴訟で、当事者本人がネット利用が困難というような場合に、本人ではなく知人にシステム送達をしてもらうときについては、「送達場所・送達受取人の届出と入力依頼:電子申立て・システム送達の場合」で説明しています。

 訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
  

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