自分が連帯債務者や保証人になっている場合と、借金をした人を相続した場合以外は、家族の借金について支払義務はない
家族が勝手に契約書の連帯保証人蘭に名前を書いても、それだけでは保証人にはならない
借金を残して死んだ人の借金を相続しないためには、相続放棄という手続があるが、慎重に検討すべき
自分以外の人が借りたお金については、自分が連帯債務者や保証人になっている場合と借金をした人を相続した場合以外は、支払をする(返す)義務はありません。夫や妻、子ども、親などの家族が借りた場合でも、それは同じです。
貸金業者が、借り主と保証人以外の人に対して支払い請求をすることは、法律で禁止されています。正確に言えば、借り主・保証人以外の者に対して借り主・保証人に代わって支払うことを要求することは法律で禁止されています。
自分が保証をしていない限り、貸金業者からの請求があってもきっぱりと断りましょう。
また、家族が、借り主の居場所や連絡先を教えることや取立への協力を拒否しているのに、貸金業者がさらに取立への協力を要求することも法律で禁止されています。
保証人になった場合は、自分が借りたのでなくても支払義務を負います。
保証人になる場合というのは、原則として、保証の契約書に自分で内容を確認して署名・押印した場合です。
借り主が、勝手に保証契約書や借金の申込書の「保証人」欄に名前を書いても、それだけでは保証人になりません。借り主が勝手に名前を書いた場合に、その後、貸金業者から保証人になることについて確認されて承諾した場合は、理屈としては保証人として責任を負います。しかし、貸金業者については、保証人に対して保証契約の前に保証契約の内容を説明する書面を渡すこと、保証契約後にもその内容を説明した書面を渡すことが義務づけられています。さらに金融庁の「貸金業者向けの総合的な監督指針」では、保証人となろうとする者に(つまり事前に)「その内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす」ことを求めています。ですから現実には、保証人も貸金業者と会って保証契約書に署名する場合がほとんどのはずです。
お金を借りる場合と違って、ローンを組んで物を買うときなど、たいていは、買う人と業者だけで書類を作り、保証人にはクレジット会社から保証の意思確認の電話が来るだけです。この意思確認は、結構いい加減になされていると思います(いい加減な例の典型として「あなたは死ぬまで騙される!」で紹介されている例があります)。私は、こういうやり方で保証人の責任を認めることには疑問を感じていますが、裁判所はそれでクレジット会社の主張を簡単に認める傾向にあります。
借金を残して亡くなった家族を相続した人は、借金も引き継ぎます。
相続は、放棄することができますので、亡くなった人に財産がなくて借金だけとか、財産があっても借金の方が多い場合は、相続を放棄した方がいいでしょう。相続を放棄すれば、当然、借金を支払う義務はありません。
相続の放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に、亡くなった人の死亡時の住所地の家庭裁判所で手続を取る必要があります。
相続の放棄については詳しくは「相続放棄」を見てください
もっとも、貸金業者からの借金が長く続いていた場合、実は過払いになっているということもあり得ます(過払い金返還請求の話)。借金よりも過払い金が多いのなら、相続してそれを取り戻した方が得だということもあります。
相続の際の財産調査については詳しくは「相続するかしないかの判断」を見てください
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