庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
高裁の決定に対する不服申立て:許可抗告・特別抗告
 高等裁判所の決定に対しては、通常の抗告・即時抗告はできず、不服申立て方法は、許可抗告(きょかこうこく:抗告許可申立て)と特別抗告(とくべつこうこく)に限られます。許可抗告(抗告許可申立て)は、最高裁判例違反その他の法令の解釈上重要な事項を含む場合に認められますが、原決定をした高裁が許可しなければ記録は最高裁に送られずに終わります。特別抗告は原決定に憲法解釈の誤りがあることその他の憲法違反があることを理由としなければなりません。

 注意すべき点は、抗告許可申立ても、特別抗告も、高裁の原決定の告知を受けたときから5日以内に申し立てなければならないことです(民事訴訟法第336条第2項、337条第6項)。
 民事裁判手続中の決定の場合、即時抗告なら原決定の告知を受けた日から1週間以内ですが、これと同じ感覚でいると期限が過ぎてしまいます。特に地裁の決定に対して即時抗告し、高裁が棄却決定をして、それに対する不服申立てなら許可抗告と特別抗告しかないと認識しやすいのですが、控訴審で高裁が行った決定に対して不服申立てするときは、まずは即時抗告ができるものと間違いやすく、申立期限を1週間と思い込みやすいです。
 さらには、家事審判の場合、不服申立ては高裁への即時抗告になりますが、この場合は申立期間が2週間です(家事事件手続法第86条第1項)。そうすると、判決に対する控訴と同じ期間なので、即時抗告に対する高裁の決定に対する不服申立ても上告と同じように考えて、2週間と思いやすいです。ところが、高裁の決定に対しては決定の告知から5日間以内に不服申立てしないと、もう不服申立てはできなくなります(家事事件手続法第96条第2項、98条第2項)ので、この場合、特に要注意です。

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話