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短くわかる民事裁判◆
許可抗告
 高裁の決定に対する不服申立て方法の許可抗告ができる決定は、高裁の決定、命令のうち、再抗告についての決定、許可抗告についての決定以外のもので(民事訴訟法第337条第1項本文)、その決定を地裁が行った場合に抗告ができるものです(民事訴訟法第337条第1項但し書き)。

 再抗告についての決定に対して抗告許可申立てができないのは、3度目の抗告までは許さないということです。
 許可抗告についての決定に対してさらに抗告許可申立てができないのは、それを認めると切りがないからです。
 地裁の決定であれば抗告ができるものに限るのは、本来的に抗告ができない決定・命令について、高裁がしたからといって抗告ができるようにする理由はないということです。
 基本、特別抗告は、本来不服申立てができないものであっても、常に最高裁に憲法違反についての判断を求めうることを確保するためのものなので、不服申立てができないときの最後の手段という立て付けなのに対して、許可抗告は不服申立てができるものについて、裁判所の判断がバラバラになるのを統一する目的があるので、むしろ下級審の判断がよく出るものを対象にしたいということです。
 なんでも最高裁が判断するというのでは最高裁の負担が重すぎるので、下級審がよく判断する対象の決定を対象にした上で、判断の統一を要するようなものを高裁で選別して持って来いというしくみです。

 裁判所の判断の統一が目的としてあるので、抗告許可の基準は、「最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合」となっているのです。

 抗告許可申立て(許可抗告の申立て)については「許可抗告申立て」で説明しています。
 抗告許可申立て理由書については「抗告許可申立て理由書」で説明しています。
 抗告許可申立ての審理については「抗告許可申立ての審理」で説明しています。
 抗告不許可決定については「抗告不許可決定」で説明しています。
 高裁が抗告許可をした場合のその後については「抗告許可がなされたとき」で説明しています。
 高裁が上告却下決定をしたときの不服申立てについて「高裁の上告却下決定に対する許可抗告」で説明しています。
 許可抗告の実情(統計)については「許可抗告の実情」で説明しています。

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