◆短くわかる民事裁判◆
特別抗告
特別抗告は、地方裁判所及び簡易裁判所の決定及び命令で不服を申し立てることができないものと、高等裁判所の決定及び命令に対して行うことができます(民事訴訟法第336条第1項)。
地方裁判所、簡易裁判所の決定・命令で不服申立てができないものには、民事訴訟法の規定上不服申立てが許されないとされているもの(例えば証拠保全決定(民事訴訟法第238条)、執行停止の裁判(民事訴訟法第403条第2項)など)と、民事訴訟法の規定はないけれども性質上不服申立てが許されていないと解されているもの(例えば期日における裁判長の訴訟指揮(民事訴訟法第148条)、釈明権の行使(民事訴訟法第149条)など)があります。
他の手段によって不服申立てができるものは特別抗告の対象にならないとされています(最高裁1952年1月30日第一小法廷決定)。
高等裁判所の決定、命令については特に限定せずに特別抗告の対象となります(許可抗告が可能であっても、それで特別抗告ができなくなるわけではありません)。
最高裁判所の決定に対しては特別抗告はできません。現行民事訴訟法は特別抗告ができる決定を地方裁判所・簡易裁判所・高等裁判所の決定・命令としている(民事訴訟法第336条第1項)ことからあきらかですが、その限定がなかった旧民事訴訟法時代にも最高裁1962年8月28日第三小法廷決定は「最高裁判所のなした決定に対しては、さらに抗告を申し立てることは許されない。」と判示し、その裁判要旨には「最高裁判所のした決定に対し特別抗告を申し立てることはできない。」として、その旨を示していました。
特別抗告の理由は、原決定・命令に、憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることです。
特別抗告の申立てについては「特別抗告の申立て」で説明しています。
特別抗告理由書については「特別抗告理由書」で説明しています。
特別抗告申立て後の裁判所での手続は「原裁判所での手続(特別抗告)」、「最高裁での手続(特別抗告)」で説明しています。
特別抗告の実情(統計)については「特別抗告の実情」で説明しています。
特別抗告棄却決定については「特別抗告棄却決定」で説明しています。
高裁による特別抗告却下決定については、「高裁による特別抗告却下決定」、「高裁による特別抗告却下決定に対する許可抗告」で説明しています。
憲法違反ととてもいえないけれど特別抗告をする意味について(希有な例ですが)「それでも特別抗告をする意味:反論の機会を与えない即時抗告認容」で説明しています。
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