◆短くわかる民事裁判◆
控訴期間(原則)
控訴は、判決書正本(または判決に代わる調書の謄本:調書判決の場合)の送達(裁判所に取りに行けばその場で受け取れます。取りに行かない限りは、特別送達で郵送されてきます)を受けた日から2週間(民事訴訟法第285条本文。判決の送達を受けた日の翌日から数えて2週間:結局告知を受けた日の翌々週の同じ曜日。ただしその期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日までの年末年始期間の場合、次の平日まで:民事訴訟法第97条第3項)以内に第1審裁判所の民事受付に控訴状を提出して行う必要があります(民事訴訟法第286条第1項)。
控訴状はファクシミリでは提出できません(民事訴訟規則第3条第1項第1号:民事訴訟費用法の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面になるので。1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(U)9ページ)。
したがって、原裁判所の民事受付に持参して提出するか、郵送する必要があります。郵送の場合、昨今の郵便事情を考えれば、普通郵便は避けるべきでしょう。遠方であれば、相当程度の余裕を持って、レターパックなどの郵便追跡サービスのある郵便で、配達状況を確認し、もし事故等がありそうなら(追跡で間に合わなそうだったら)最終期限当日には持参も可能にしておくというのが確実な方法だと思います(私ならそうします)。
控訴期間については、いわゆる必要的共同訴訟について、共同訴訟人の控訴期間がそれぞれの控訴期間が各人が判決書の送達を受けた日から進行するか、共同訴訟人で判決書の送達を受けた一番遅い日から一斉に進行するのかについて議論があり、特に遺産分割審判について後者の見解(一番遅い日から一斉に進行する)に基づく実務が広く行われていたのですが、最高裁2003年11月13日第一小法廷決定が前者の見解をとり、控訴期間のカウントには必要的共同訴訟でも特別に考える必要はないということになりました。
※必要的共同訴訟については、「判決の確定(例外):多数当事者」で説明しています。
なお、判決の言い渡しの前に提起した控訴は違法で、その控訴の却下前に判決の言い渡しがあっても適法にはならないとされています(最高裁1949年8月18日第一小法廷判決)(率直に言って、判決文からはよくわからないのですが、判決要旨と少数意見からするとそういうことのようです)。
判決言渡後、判決書送達前に行った控訴提起は、適法です(民事訴訟法第285条但し書き)。
控訴期間については、ここで述べた原則に対して、遠隔地居住者について裁判所が定めることができる付加期間(民事訴訟法第96条第2項)、責めに帰することができない事由により控訴期間を守れなかった場合の訴訟行為の追完(民事訴訟法第97条)等の例外があります。
訴訟行為の追完については、「控訴期間(例外):訴訟行為の追完」等のページで説明しています。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
**_****_**