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短くわかる民事裁判◆
控訴期間(例外):訴訟行為の追完
 控訴は、判決書(または調書判決)の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならないとされています(民事訴訟法第285条本文)。
 この「不変期間」というのは、民事訴訟法上特に定義されていませんが、民事訴訟法上不変期間とされている期間は(「法定期間」とは異なり)、裁判所が伸長したり短縮できず(民事訴訟法第96条第1項但し書き)、他方、不変期間については「裁判所は、遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができる。」(民事訴訟法第96条第2項)とし、それと別に自分の責任でない事情で期限を守れなかった当事者のために訴訟行為の追完を認めています(民事訴訟法第97条)。
 この訴訟行為の追完は、「当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。」(民事訴訟法第97条第1項本文)というもので、その事由が消滅した後1週間という期間は裁判所が伸縮することはできず(民事訴訟法第97条第2項)、当事者が外国に所在する場合は期間は2か月とされています(民事訴訟法第97条第1項但し書き)。

 これまでに裁判所が控訴期間について訴訟行為の追完を認めたケースで裁判所Webに掲載されているものには、次のようなものがあります。

●通常であれば郵便が届く時期に発送したが郵便が遅延して間に合わなかった
 →「訴訟行為の追完:郵便の遅延」で説明します。
●公的な職員等の事務や助言指導を信頼したために控訴期間を誤った
 →「訴訟行為の追完:公的な職員の事務への信頼・誤信」で説明します。
●判決正本を受領した代理人(弁護士)がそのまま急病で倒れてその後の言語能力を欠いたため間に合わなかった
 →「訴訟行為の追完:代理人の疾病」で説明します。
●原告が被告の住所を知っているのに住所不明として公示送達をされて知らないうちに判決を受けた
 →「訴訟行為の追完:不正な公示送達」で説明します。

追完が認められなかった例ですが…
●代理人と同じ事務所の勤務弁護士が判決正本を受領して報告しなかったため控訴期限を徒過した
 →「訴訟行為の追完:勤務弁護士の正本受領」で説明します。

控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。

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