◆短くわかる民事裁判◆
裁判官の忌避申立てに対する裁判
裁判官の忌避申立てについては、簡易裁判所の場合以外は、その裁判官が所属する裁判所(東京地裁なら東京地裁という意味)が、簡易裁判所の裁判官の場合はその簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、合議体で、決定をすることとされています(民事訴訟法第25条第1項、第2項)。
忌避申立ての対象となっている裁判官は忌避についての裁判に関与できません(民事訴訟法第25条第3項)。ただし、その忌避申立てについて意見を述べることはできます(民事訴訟規則第11条)。
※民事訴訟法の規定上、忌避申立てに対しては、別の裁判官の合議体による決定をすべきところ、忌避を申し立てられた裁判官自身が却下決定(裁判業界では「簡易却下(かんいきゃっか)」と呼ばれます)ができるかについては、「忌避申立てに対する簡易却下」で検討します。
忌避の申立てに理由がある(忌避事由:裁判の公正を妨げる事情があると認められる)とする決定がなされた場合、その裁判官はその事件を担当できなくなります。
除斥の場合は、法律上もともと関与が許されなかったのですから除斥申立て前にその裁判官が行った(訴訟上の)行為も当然にすべて無効ですが、忌避の場合は忌避に理由があるという裁判(決定)によってその裁判官が関与できなくなるので、忌避申立て前の訴訟上の行為が当然に無効と言えるわけではありません。しかし、その裁判官に裁判の公正を妨げる事情があったと認められたのであれば、その裁判官が行った訴訟上の行為を有効と扱うのが相当とは言えないでしょう。実例がほとんどないのでわかりませんが、新たな裁判官の下でやり直さざるを得ないのではないかと思います。
忌避申立てに理由があるとする決定に対しては不服申立てはできません(民事訴訟法第25条第4項)。
他方、忌避申立てを却下する決定に対しては、即時抗告ができます(民事訴訟法第25条第5項)。
民事裁判の手続全般については「民事裁判の審理」でも説明しています。
民事裁判の登場人物についてはモバイル新館の 「民事裁判の登場人物」でも説明しています。
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