◆短くわかる民事裁判◆
民事裁判手続中の決定等に対する即時抗告
民事裁判手続中になされる各種の決定については、多くの場合、民事訴訟法で個別に即時抗告(そくじこうこく)ができることが定められています。
即時抗告がなされると、それについての判断がなされるまでの間は、その決定は確定しないという効力があります(民事訴訟法第334条第1項)。
即時抗告ができる決定の代表的なものには、次のものがあります。
(ただし、これらの決定でも、高裁が行った決定に対しては、即時抗告はできず、不服申立て方法は許可抗告申立てか特別抗告になります。それについては「高裁の決定に対する不服申立て:許可抗告と特別抗告」で説明しています)
移送の決定、移送の申立てを却下した決定(民事訴訟法第21条)→移送申立てに関する決定に対する不服申立て
裁判官の除斥または忌避を理由がないとする決定(民事訴訟法第25条第5項)
利害関係人の補助参加の許否についての決定(民事訴訟法第44条第3項)
訴訟費用額確定処分への異議に対する決定(民事訴訟法第77条第7項)→訴訟費用額確定処分に対する不服申立て
訴訟救助に関する決定(民事訴訟法第86条)→訴訟救助に関する決定に対する不服申立て
訴訟記録の閲覧制限申立ての却下決定、閲覧制限決定に対する第三者の取消申立てについての決定(民事訴訟法第92条第4項)
訴状却下命令(民事訴訟法第137条第3項)→訴状に印紙を貼らなかったら:手数料不納付
呼出費用不納付による訴え却下決定(民事訴訟法第141条第2項)→郵券を納付しなかったら:送達費用不納付
文書提出命令申立てについての決定(民事訴訟法第223条第7項)
判決の更正決定(民事訴訟法第257条第2項)→判決の更正
第1審裁判所による控訴の却下決定(民事訴訟法第287条第2項)
控訴状却下命令(民事訴訟法第288条、137条第3項)
再審却下決定・棄却決定・開始決定(民事訴訟法第347条)
即時抗告をする場合、即時抗告の対象となる決定の告知を受けた日から1週間(告知を受けた日の翌日から数えて1週間:結局告知を受けた日の翌週の同じ曜日。ただしその期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合、次の平日まで)以内に、抗告裁判所(決定が地裁なら高裁)宛の抗告状(こうこくじょう)を原裁判所(地裁の決定ならその地裁)の民事受付に提出します。
即時抗告の申立てについては「即時抗告の申立て」で詳しく説明しています。
即時抗告をした場合の原裁判所での手続については「原裁判所の手続(即時抗告)」で詳しく説明しています。
即時抗告をして抗告理由書を提出した後の抗告審での審理等については「即時抗告審の審理」で説明しています。
※民事裁判関係の手続でも強制執行関係(民事執行法)、保全手続関係(民事保全法)、家事事件(離婚や相続等:家事事件手続法)、非訟事件(紛失した手形・小切手を無効にする手続等:非訟事件手続法)については、民事訴訟法とは別の規定があります。ここでの説明は、民事訴訟法の規定に基づく即時抗告についてのものです(そのため、「民事裁判手続中の決定に対する即時抗告」と題しています)。
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