◆短くわかる民事裁判◆
移送申立てに関する決定に対する不服申立て
移送申立に対する決定に対しては、移送決定に対しても、移送申立て却下決定に対しても、その主張を認められなかった側は、即時抗告(そくじこうこく)をすることができます(民事訴訟法第21条)。
即時抗告をする場合、移送申立てに対する決定を送達された日から1週間(送達を受けた日の翌日から数えて1週間:結局送達を受けた日の翌週の同じ曜日。ただしその期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合、次の平日まで)以内に(民事訴訟法第332条)、抗告裁判所(決定が地裁なら高裁)宛の抗告状(こうこくじょう)を原裁判所(地裁の決定ならその地裁)の民事受付に提出します。原裁判所の民事受付は、地裁の場合事件記録符号(ソラ)、簡裁の場合(ハソ)の事件番号を振ります。
即時抗告は、移送申立てとは異なり、抗告申立手数料(印紙)が1000円かかり、郵券の予納も求められます。予納郵券は、東京高裁への即時抗告の場合抗告人・被抗告人ともに1名の場合3000円(500円4枚、110円2枚、100円4枚、20円9枚、10円20枚)、当事者1名増加ごとに3000円追加となります。
抗告の期限を確定するため、移送決定は移送申立ての相手方(通常は原告:代理人が付いていれば代理人)、移送申立て却下決定は移送申立人(通常は被告:代理人がついていれば代理人)には特別送達で送られます。
抗告理由書(こうこくりゆうしょ)は、抗告をした日(抗告状が裁判所に届いた日)から14日以内(抗告をした日の翌々週の同じ曜日。ただしその期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合、次の平日まで)に提出することとされています(民事訴訟規則第207条)。抗告理由書は記録が原裁判所にあるうち(抗告裁判所に行って事件番号がつく前)に提出しますので、地裁の事件であれば(ソラ)番号、簡裁の事件であれば(ハソ)番号で書きます。
上告理由書(じょうこくりゆうしょ)や上告受理申立て理由書(じょうこくじゅりもうしたてりゆうしょ)とは違って、この期限に遅れたら直ちに却下されるということにはなっていません。実際には抗告に対する決定はかなり遅いこともままあります。しかし、期間経過後は、裁判所が抗告に対する決定を待ってくれる保証はないということになります。
即時抗告については、「民事裁判手続中の決定に対する即時抗告」等でより詳しく説明しています。
管轄についてはモバイル新館の 「どの裁判所に訴えるか」でも説明しています。
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