◆短くわかる民事裁判◆
損害賠償請求の訴訟物の価額
損害賠償請求の請求の趣旨で例示した、2024年10月1日に交通事故に遭い、入院治療した被害者が、治療費300万円、休業損害250万円、慰謝料300万円と弁護士費用85万円を請求するケースで、訴状の請求の趣旨が、
1.被告は、原告に対し、金935万円及びこれに対する令和6年10月1日から支払い済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
の場合、訴訟物の価額は935万円です。
損害額とともに請求されている遅延損害金(年3%の割合による金員の部分)は、附帯請求(ふたいせいきゅう)なので、「印紙額計算の基準:訴訟物の価額」で説明したとおり、訴訟物の価額に算入されません(民事訴訟費用法第4条第1項、民事訴訟法第9条第2項)。
したがって、この場合、訴状に貼る印紙の額は4万8000円となります(「訴え提起手数料:訴状に貼る印紙」に早見表を掲載しています)。
被害者が、運転手とともに自動車所有者や勤務先も被告として訴え、訴状の請求の趣旨が、
1.被告らは、原告に対し、連帯して金935万円及びこれに対する令和6年10月1日から支払い済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2.訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
の場合も、運転手に対する請求と自動車所有者や勤務先に対する請求は、一方から現実に支払を受ければ他方の残債務がその分減る、2人合わせてその額の支払い義務があるという関係にあって、原告が得られる利益が共通していますので、「印紙額計算の基準:訴訟物の価額」で説明したとおり、訴訟物の価額は(2人分で1870万円にはならず:民事訴訟費用法第4条第1項、民事訴訟法第9条第1項但し書き)935万円です。
訴え提起手数料については「裁判所に納める費用(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の 「裁判所に納める費用(民事裁判)」でも説明しています。
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