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短くわかる民事裁判◆
訴えの取下の実情
 原告が提起した訴えを取り下げると、被告が本案について認否したり反論をした準備書面(答弁書)を提出する前の取下げなら被告の同意がなくても、それ以後であれば被告が同意すると、裁判は終了し、訴えが最初からなかったことになります(民事訴訟法第261条第1項、第2項、第262条第1項)。
 この訴えの取下は、現実にはどれくらい行われているでしょうか。
 司法統計年報で見ると、全国の地方裁判所の通常民事訴訟で訴えの取下により終了した事件(被告が本案について認否反論等をした後は被告が同意しないと終了しませんので、被告の同意も得られた件数)が年2万件前後あり、全体の十数%にも及んでいます。
年  終了事件総数  うち取下による終了  割合 
 2023  137,596  20,680 15.03%
 2022  131,801  23,886  18.12%
 2021  139,020  23,178  16.67%
 2020  122,759  22,380  18.23%
 2019  131,557  19,410  14.75%
 2018  138,683  19,804  14.28%
 2017  145,985  21,045  14.42%
 2016  148,022  23,686  16.00%
 2015  140,991  24,514  17.39%
 2014  141,012  26,117  18.52%

 訴えの取下の場合、「訴外和解」で説明しているような、原告としては裁判の目的を達するような十分な和解ができて取り下げる場合と、逆に勝ち目がないと判断して取り下げる場合という両極端のケースが混在していて、統計上はそれが判別できないので、この数字の評価は難しいですが。

 訴えの取下については、「訴えの取下」で説明しています。

 最初になすべき口頭弁論期日(第1回口頭弁論期日あるいは弁論準備期日)の終了前に訴えを取り下げた(被告の同意を要する場合は被告の同意も得られた)場合、訴え提起手数料の一部について還付を受けることができます。
 訴え提起手数料の還付については、「手数料還付」で説明しています。

 訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「第1回口頭弁論まで」でも説明しています。
  

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