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【判決の言い渡しと読み方】
 判決の言い渡しは法廷で行われますが、当事者の出席は義務づけられていません。通常の民事裁判では当事者がいない法廷で、主文だけが読み上げられます。
 判決文は、主文、請求、事案の概要、前提事実及び争いのない事実、争点、争点についての当事者の主張、当裁判所の判断というような構成が多く、このうち主文と当裁判所の判断が重要です。

《判決の言い渡し》
 判決の言い渡しは法廷で行われますが、判決期日は当事者の出席は必要ありません。もちろん、出席することはできますが、法廷で読み上げられるのは主文だけで、よほどの大事件でなければ理由部分は読み上げられず、ましてやその解説などありませんから、当事者が出席しないことが多いです。
 東京地裁の場合、午後の法廷の最初の時間帯(部・係により午後1時とか午後1時10分とか午後1時15分とか)に判決期日が集中して指定され、同じ時間帯に口頭弁論期日が指定されている事件の当事者(ほとんどの場合その代理人の弁護士)が傍聴席で待っている前で、連続して主文だけが読み上げられていきます。

判決の言い渡しに誰も来ないんですか?
ごく普通の民事裁判はそういうことが多いです。法廷に行っても主文しか聞けませんし。

 民事裁判の場合、控訴期間は、判決正本を受け取った日(の翌日)からカウントされますので、傍聴席で(あるいは当事者席に座って)主文を聞いても、判決正本を受け取らずに帰れば、控訴期間は判決が郵送で送られてきた日(の翌日)からカウントされることになります。他方、当事者が判決正本をすぐに受け取りたいという場合、出席して判決言い渡しを法廷で聞いても、判決正本を法廷で受け取れることはまずなく、書記官室に行ってそこで受け取ります。その場合、判決言い渡し後すぐに書記官室に行っても、担当書記官がいません(まだ法廷で別の事件をやっている)ので、すぐに受け取れないとか、場合によっては言い渡し用の判決書は作成済みだが当事者に渡す正本はまだ作ってないなんてこともあります。そういうこともあり、弁護士の場合、判決当日に言い渡しを聞こうとか、すぐに判決正本を受け取ろうという意欲は次第に萎えていくことになります。

《判決書の読み方》
 裁判の当事者にとって、まず一番重要なのは「主文」です。主文が裁判の結論ですし、相手方との関係で法律上の権利義務が確認されたり変わったり、また強制執行ができる内容は、主文に書かれていることです。
 主文の内容が原告側の全面勝訴であるかは、請求の内容と同じかということですが、判決主文に「原告のその余の請求を棄却する」という文があるかないか(あれば一部勝訴)、判決理由の冒頭にある「請求」欄が「主文と同旨」「主文と同じ」と書かれているかでも判断できます。また原告全部勝訴の場合は、普通は、「訴訟費用は被告の負担とする」とされています。

被告が勝訴した場合の主文はどうなるんでしょう。
普通は「原告の請求を棄却する」です。例外的に訴え自体が違法な場合は「却下」ですが。

 判決書で、次に重要なのが「当裁判所の判断」(「争点に対する判断」と書かれているときもあります)です。ここが裁判所が認定した事実や裁判所の採用した法律構成、法解釈を示しています。その前の当事者の主張欄は、あくまでも当事者が裁判で主張した事実と法律構成を裁判所が請求が認められるかの判断に必要な範囲で整理したもので、裁判所自身の見解ではありません(この範囲が請求の判断に必要という取捨選択のレベルでは、裁判所の判断ですが)。
 「当裁判所の判断」を検討することで、裁判所が当事者の請求について何を考慮しどのような理由で結論を出したかがわかります。勝訴した当事者にとっては、自分の主張がどの程度、またどのように認められたかの確認ができ、満足度が決まるところでもあります。そして、敗訴した当事者にとっては、この検討によって、自分の主張した事実、証拠書類や証言、法律構成のどこに弱点があったのかと、この判決の考え方が標準的なものか担当した裁判官の独特のものかを見極め、控訴した場合に逆転の可能性がどれくらいあるかを判断するということになります。

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