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短くわかる民事裁判◆
控訴状の作成
 控訴状には、「控訴状の必要的記載事項」で挙げた、当事者及び法定代理人第1審判決の表示、その判決に対し控訴する旨(民事訴訟法第286条第2項)の他、訴訟物の価額と貼用印紙額、不服の限度、控訴の趣旨を記載するのがふつうです。

 通常のパターンでは、控訴状の宛先(控訴裁判所)、控訴日(控訴状作成日)、控訴状作成者の記名押印、当事者の表示、事件名(1審の事件名の「請求」の次に「控訴」を挿入)、訴訟物の価額、貼用印紙額、控訴をする旨の記載、原判決の表示(原判決の主文)、控訴の趣旨、控訴の理由(「追って控訴理由書を提出する」と記載)を記載します。仙台高裁が配布している控訴状の書式はこちら

 当事者の表示は、控訴する者が「控訴人」、その相手方が「被控訴人」とします。相手が先に控訴している場合でも、その控訴状による控訴は別事件(控訴裁判所で一体で控訴事件番号が振られますが、控訴時点では別の控訴提起事件です)ですので、控訴状段階で控訴人兼被控訴人等の表示をする必要はありません。
 当事者の表示の内容となる氏名、住所、法定代理人の記載などは、訴状について「当事者の表示」で説明したとおりです。

 送達場所の届出(民事訴訟法第104条)は、審級ごとという扱いではないので、特に届けなければ1審どおりとされますが、訴訟代理人(弁護士)が控訴状を作成する場合は、控訴状にも自分の事務所の記載に「送達場所」と記載するのが通例です。

 控訴をする旨の記載ですが、通常は「上記当事者間の○○裁判所令和○年(○)第○○号○○請求事件について、令和○年○月○日、同裁判所が言い渡した判決は、全部不服であるから控訴を提起する。」(全部敗訴の場合は、「全部不服」、一部敗訴の場合は「控訴人敗訴部分につき不服」と記載します。敗訴部分の一部について控訴するときについては「一部控訴の控訴状の記載」で説明します)というようにします。
 この記載により、不服の限度も記載したことになります。
 なお、仙台高裁の控訴状書式で記載されている判決正本の送達を受けた日は、特に記載する必要はないですが、控訴状提出日が判決言渡日から2週間を超えているときは、控訴期間徒過を疑われないように「同裁判所が言い渡した判決」の後ろに「(令和○年○月△日受送達)」などの記載をする方が望ましいと思います。
 
 必要的記載事項の「第1審判決の表示」は、上記の例文の「上記当事者間の○○裁判所令和○年(○)第○○号○○請求事件について、令和○年○月○日、同裁判所が言い渡した判決」の部分で既に特定されていますが、実務上は、これに続けて「原判決の表示」と記載して1審判決の主文をそのまま引き写します。
※控訴状を第1審裁判所の民事受付に持参して提出する場合は、さらに1審判決の判決正本又はその写しを持っていくのが無難です。

 控訴の趣旨については別のページで説明します。
 全部敗訴の場合→「控訴の趣旨:全部敗訴の場合」
 一部敗訴の場合→「控訴の趣旨:一部敗訴の場合」
 一部控訴をするとき→「一部控訴の控訴状」

 控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。

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