◆短くわかる民事裁判◆
訴訟費用に含まれるもの
訴訟費用の負担の裁判(民事訴訟法第67条)で原告や被告の負担とされ、訴訟費用額確定処分(民事訴訟法第71条)を行って相手方から取り立てることができる訴訟費用、訴訟救助決定により支払が猶予される訴訟費用に含まれるものは、通常の民事裁判に関するもの(強制執行とか保全処分関係は除き)では、次のものです。
弁護士費用はそこには含まれません。実際に裁判にかかる費用としては、弁護士費用が一番多いというかその大部分を占めるので、勝訴すれば弁護士費用も相手方から取れるもの思っている人が多いですが、弁護士費用は民事訴訟法・民事訴訟費用法で定める「訴訟費用」とは別のもので、不法行為(違法な加害行為がありそれにより損害を受けたとき)を理由とする損害賠償請求訴訟で勝訴したときにその一部だけが被告が支払うべきものとされるだけです(実際に弁護士に支払う額ではなく、被告に支払が命じられた他の損害額の10%が、被告が負担すべきものとして認められるのがふつう)。
●申立ての手数料(民事訴訟費用法第2条第1号):訴え提起手数料など
●書類の送達・送付費用(民事訴訟費用法第2条第2号、第11条第1項第1号)
●証人、鑑定人、通訳人の旅費、日当、宿泊料及び鑑定料、通訳料(民事訴訟費用法第2条第2号、第11条第1項第1号、第18条)
●参考人その他の説明者の旅費、日当及び宿泊料(民事訴訟費用法第2条第2号、第11条第1項第1号、第19条)
●調査嘱託先等への報酬(民事訴訟費用法第2条第2号、第11条第1項第1号、第20条)
●裁判所外での調査(現場検証等)を行った場合の裁判官、書記官の旅費及び宿泊料(民事訴訟費用法第2条第2号、第11条第1項第2号)
●当事者(原告、被告)の期日の旅費、日当及び宿泊料(民事訴訟費用法第2条第4号)
●訴訟代理人の期日の旅費、日当及び宿泊料(民事訴訟費用法第2条第5号)
●訴状等の提出書類の作成及び提出費用(民事訴訟費用法第2条第6号)
●官公署等からの書類取り寄せ費用(民事訴訟費用法第2条第7号)
●提出書類の訳文の翻訳料(民事訴訟費用法第2条第8号)
●文書等の裁判所への送付費用(民事訴訟費用法第2条第9号)
●裁判所が弁論能力がないとして弁護士の付き添いを命じた場合の弁護士報酬(民事訴訟費用法第2条第10号)
通常の民事裁判では、実際に支出するのは、訴え提起手数料、裁判所が行う送達等の郵送料として予納する郵券、官公署等からの書類取り寄せ費用(法人が当事者のときの法人登記簿謄本等)程度ということが多く、訴訟費用の取り立て(訴訟費用額確定処分申立て)をするとなったときに、期日旅費・日当、書類の作成及び提出費用を計算するというのがふつうだろうと思います。
訴訟費用とその取り立てについては「訴訟費用の取り立て(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の 「裁判所に納める費用(民事裁判)」でも説明しています。
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