◆短くわかる民事裁判◆
費用計算書:書類の送達費用
訴訟費用額確定処分の申立てに際して作成する訴訟費用計算書で、まじめにやると面倒なのが、書類の送達費用です。
一応、裁判所が書類の送達や送達以外の郵送に支出した金額なので、訴状副本送達費用とか、判決正本送達費用とか分けて記載するのが筋ではあります。書記官の訴訟費用額確定処分には、逐一記載されることが多いです。
しかし、当事者の側では、それをちゃんと特定するためには、事件記録を閲覧して、通常は最初に綴られている予納郵便切手管理袋の摘要欄と使用額欄の記載を確認することになります。この管理袋の摘要欄の記載(「予納郵便切手を使用する事由を具体的に記載する」ことが求められています:最高裁事務総長通達「予納郵便切手の取扱いに関する規程の運用について」)でその郵券で何を送達したか確認されていれば、それで解決しますが、それだけで何を送達したのかわからないときは管理袋の年月日欄の記載と使用額欄の記載に見合う書類を記録上当たるという作業が必要になります。自分で閲覧に行かないとすると、書記官に電話で聞くということも考えられますが、それは迷惑だろうと思うんですよね(まぁ、書記官からすれば、そもそも訴訟費用額確定処分を申し立てられること自体迷惑だろうと思いますが)。
実際問題としては、多くの場合、申し立てる側では、何を送達した費用と区別しないで、全体として、予納した郵券額から裁判所から返還された郵券額を差し引いた金額を書類送達費用として記載しても大丈夫です。ただし、原告1人、被告1人の事件なら間違いなくそれで大丈夫ですが、複数当事者の事件で、一部の人が途中で分離されたとか、和解したとか、取り下げたとかで抜けた場合、送達した文書が違ったり回数が違ってきて、単純に総額を頭割りできなくなります。そうなると、送達した書類ごとの郵送料を区分けしなければならなくなります。
※そういうケースの訴訟費用額計算について、「費用計算書:複数人からの請求」と「訴訟費用計算書:複数人に対する請求」で説明しています。
訴訟費用とその取り立てについては「訴訟費用の取り立て(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の 「訴訟費用の負担(訴訟費用の取り立て)」でも説明しています。
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