このサイトでは、民事裁判のしくみや手続、労働事件、借金の整理 過払い金請求などについて説明しています。
【第1回口頭弁論の後】
第2回口頭弁論期日以降は、相手方から出された主張や証拠に応じて、反論やそれを裏付ける証拠書類を提出し、裁判官がその裁判での請求を認めるかどうかの判断に影響する事実と法律構成を形作っていきます。第2回口頭弁論期日以降も、主張や証拠は事前に書類で提出して口頭弁論期日に「陳述」した形にして確認するというやり方をします。
当事者の主張が一通り出尽くしたところで、証人や当事者の尋問(人証調べ)が必要かどうかを判断し、必要と判断されれば人証調べに入ります。
証拠書類や人証調べは別ページで説明します。ここでは準備書面について説明します。
《準備書面の提出》
民事裁判の前半戦(主張整理の段階)は、請求を認めるかどうかの判断に影響する事実と法律構成を、いかに裁判官が受け入れやすいような形で調えるかが重要です。
裁判官が受け入れやすいということには、事実として合理的であり証拠の裏付けがあるなどから信用できるという側面と、法律構成(解釈)が法律の規定と整合するとかそれを支持する裁判例があるなどから採用しやすいという側面があります。
主張(事実関係と法律構成)は、準備書面にまとめて、口頭弁論期日の前に裁判所と相手方に提出します。主張を裏付ける証拠書類があれば、やはり、同時に提出します。
準備書面等の提出期限は、口頭弁論期日で裁判官から指定されることもあります。現在では、特に指定されなくても、口頭弁論期日の1週間前が1つのスタンダードとなっています。ただし、実際にはもっと直前に提出する人が多く、当日持ってくるというケースもいまだにありますが。
提出は、郵便でもFAXでもかまいません。提出時に、「受領書」欄のある送付状をつけて送り、受け取った側がいつ受領したかを記入して署名して裁判所と送った側にFAXで返信するという約束ごとになっています。準備書面や証拠書類をFAXで送ったとき、FAXでは見にくい書類があるような場合は、コピー(業界では「クリーンコピー」などと呼んでいます)を郵送するか口頭弁論期日当日に渡すかするのが礼儀です。
FAXでは見にくい書類っていうと?
文字が小さいときは字が潰れますし、手書きで薄かったりかすれてるときがあります。
《準備書面の陳述》
地方裁判所の場合、第2回口頭弁論期日以降は、欠席した当事者は擬制陳述ができませんので、準備書面等を事前に提出していても準備書面は陳述できず、証拠書類は提出扱いにできません。後の口頭弁論期日に出席すればそれまで保留されていた準備書面をまとめて陳述し、証拠書類もまとめて提出扱いになりますが、最後まで出席しないと、準備書面も証拠書類もなかったこととされて判決上無視されます。
簡易裁判所の場合は、第2回以降の口頭弁論期日にも擬制陳述が認められています。その結果、被告側は準備書面等さえ提出し続ければ、一度も出席せずに裁判を進めることも可能です(被告が出席する場合、原告側が欠席で裁判を進めることも、法律の規定上は可能ですが、「第1回口頭弁論期日」で説明したように、被告側が「休止」を選ぶことになってしまうので、実際には原告側は欠席できません)。
相手方が欠席の場合、事前に提出した準備書面等について相手方(欠席者)が受領書を出していないと陳述できません。そのため、受領書を出さないとか、口頭弁論期日前には出さないとかして、期日を欠席されると期日が1回空転してしまいます。そういうせこい引き延ばし戦術を使う業者がありますが、受領書を出さない場合はFAXの送信記録等で無事に送信されていることを裁判所に示して陳述するなどの方法でリカバーし、引き延ばし戦術であることを批判して早期結審を主張することで対応することになります。
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