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【証拠書類の提出】
 証拠書類を提出するときは、証拠説明書を作成して証拠とともに提出します。裁判官は、判決に至る事件では、証拠説明書を重視しています。
 手持ち証拠以外で、裁判所を通じて証拠を集める方法として、送付嘱託、調査嘱託、文書提出命令などの方法があります。これらが効果的な場合がありますが、裁判官によってなかなか採用してくれないことがあり、申し立てるときは狙いを定めて行う必要があります。

《手持ち証拠書類の提出》
 証拠書類には、原告側は甲第*号証、被告側は乙第*号証という番号を振って提出します。原告、被告が複数のとき、裁判所と協議して、原告側は原告ごとにABCの記号を振って、原告Aに関する証拠は甲A第*号証、原告Bに関する証拠は甲B第*号証というふうに振ることもあります(裁判所側がそう希望することがよくあります)。被告が複数のときは、被告の代理人の弁護士が共通なら同じグループ、弁護士も別なら別グループと扱って、乙丙丁戊と振っていくのが通常です。

被告が5グループ以上になったらどうなるの?
私は「戊」までしか見たことはありませんが、十干で己・庚・辛・壬・癸でしょうね。

 証拠書類を提出するときは、証拠説明書を作成して提出します。証拠説明書には、証拠の標目(書類の名称・種類)、作成者、作成日、原本で提出するかどうか、立証趣旨を書きます。証拠書類は誰が作成したかによって信用性や書類の意味が大きく変わることがありますし、作成日によって書類の意味が大きく変わることがありますので、これらを書く必要があります。原本で提出するかどうかは、裁判所で提出扱いにする期日に裁判所に原本を持って行って裁判官と相手方に見せられるものは、「原本」と書きます。原本そのものを裁判所に出したままにする必要はなく、裁判のために作成した陳述書以外は、裁判所にもコピーを提出します。原本が手元にないとか、裁判所に持って行けない場合は、「写し」と書きます。立証趣旨は、その証拠書類で何を立証できるかということで、判決を書くとき、裁判官は証拠説明書で立証趣旨を見ながら書くことが多いそうですので、立証趣旨の書き方が重要になります。

《裁判所を通じた証拠収集》
 裁判での立証は、基本的には手持ち証拠によるべきですが、証拠の種類と事件の内容によっては裁判所を通じた証拠収集がポイントになることもあります。
 進行中の裁判と関連する別の裁判の記録を見たいという場合、その裁判記録が別の裁判所にあるときは文書送付嘱託(ぶんしょそうふしょくたく)の手続によって、同じ裁判所にあるときは記録提示(きろくていじ)申立によって、事件記録を取り寄せることができます。「記録提示申立」というのは、法律の規定はありませんが、慣例として同じ裁判所の場合はそういう名称で行われています(昔は、もう少しおどろおどろしく「記録顕出(きろくけんしゅつ)」申立と呼ばれていました)。
 相手方や第三者が持っている文書について、裁判所が要請すれば任意に出してくれそうな場合は、文書送付嘱託の申立を利用できます。官庁や各種の団体に対して一定の事項の調査を求める「調査嘱託(ちょうさしょくたく)」という手続もあり、調査事項を書くときに書類を特定して写しの交付も求めると書類自体の写しをつけて回答してくれることが多いので、書類取り寄せの手段ともなります。文書送付嘱託と調査嘱託は実質的には同じようなものですが、文書送付嘱託の場合は文書を特定しないとできない、調査嘱託は「団体」に対してしかできないという制約がありますので、そこを考えてどちらを使うか考えることになります。
 書類の所持者が任意には提出しそうにない場合、特に相手方が書類を持っている場合で送付嘱託では提出しないような場合には、文書提出命令という手続があります。現在の法律の規定では、「もっぱら所持者の利用に供するための文書」、職務上の秘密等に関する文書以外は提出義務があります。「もっぱら所持者の利用に供するための文書」は、内部の非公式な文書ということになりますが、銀行の稟議書について激しく争われ、最高裁は銀行の稟議書は原則としてこれにあたり提出義務はないと判断しています。提出命令に反して提出しない場合は、裁判所はその文書の内容について命令を申し立てた側の主張通りに認定できる(裁判所がその気になればということで、裁判所が拘束されるわけではありません)というしくみで、理論的にはかなり強力なものです。
 しかし、どの手続も、担当裁判官が事件の審理のために必要だと認めないと採用してくれません。文書提出命令も、対象文書に当たるかどうかの議論よりも、所持しているという証明がないとか必要性がないとかいう理由で不採用になることが多いです。必要性についての判断は、裁判官によってかなりばらつきがあります。
 裁判所を通じた証拠収集は、対象文書の内容が事前に予想できないことが多く、取り寄せた場合には相手方も利用できますので内容が不利なものであった場合ダメージがあり、また裁判官が採用してくれない可能性も相当あります。ですから、最初から裁判所を通じた証拠収集に頼ることはかなりリスクが大きいということを頭に置いた方がいいでしょう。

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