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短くわかる民事裁判◆
準再審申立てに対する決定に対する不服申立て
 準再審の申立を受けた裁判所は、準再審の申立が不適法な場合には却下決定(民事訴訟法第349条第2項、第345条第1項)、再審事由がない場合には棄却決定(民事訴訟法第349条第2項、第345条第2項)、再審事由がある場合には準再審開始決定(民事訴訟法第349条第2項、第346条第1項)を行います。
 そして、準再審開始決定が確定したときは、さらに本案の審理を行い、原決定・命令を正当とする場合は棄却の決定・命令を、それ以外の場合は原決定・命令を取り消した上で、準再審の対象となる事件について新たな決定・命令を行います(民事訴訟法第349条第2項、第348条)。

 これらの決定・命令に対する不服申立ては、前者(準再審開始決定をしない場合または準再審開始決定)に対しては一律に民事訴訟法第349条第2項で準用される第347条に基づく即時抗告、後者(準再審開始決定確定後の決定・命令)は、準再審の対象となる決定または命令に対する不服申立て方法(元の決定・命令の法的性格により異なる)によることになります。少し紛らわしくて混乱しやすそうですが。

 前者の準再審申立に対する却下・棄却・準再審開始決定を受けた場合、その決定をした裁判所が簡易裁判所または地方裁判所である場合は、これに対して即時抗告をすることができます(民事訴訟法第349条第2項、第347条)。
 即時抗告期間は決定の告知を受けた日(通常は決定書謄本が送達されてきますので、それを受領した日)から1週間です(民事訴訟法第332条)。抗告裁判所(決定が簡裁なら地裁、決定が地裁なら高裁)宛の即時抗告状を、原決定をした裁判所の民事受付に提出します。即時抗告手数料(印紙)は1000円、予納郵券は裁判所によりさまざまですので問い合わせが必要です。即時抗告理由書は抗告をした日から14日以内に原裁判所(決定をした裁判所)に提出します。詳しくは「即時抗告の申立て」とそのリンク先のページで説明しています。
 即時抗告審の決定に対する再度の不服申立ては、原決定をしたのが簡易裁判所の場合は再抗告が可能です(詳しくは「再抗告の申立て」とそのリンク先のページで説明しています。なお、再審請求棄却決定に対する再抗告の場合、再抗告期間は即時抗告の決定の告知から1週間です:最高裁2004年9月17日第三小法廷決定)。原決定をしたのが地方裁判所の場合、再抗告はできず、即時抗告審の決定に対する不服申立ては、次に説明する許可抗告と特別抗告のみとなります。

 原決定をしたのが高等裁判所である場合は、(民事訴訟法第347条が「即時抗告をすることができる」と定めているにもかかわらず)許可抗告特別抗告のみをすることができます(民事訴訟法第337条、第336条)。許可抗告(抗告許可申立て)も特別抗告も、決定の告知を受けた日から5日以内に申し立てる必要があります。詳しくは「抗告許可申立て」「特別抗告の申立て」で説明しています。

 原決定をしたのが最高裁判所である場合は、それに対する不服申立て手段はありません。
※原決定自体に再審事由があるという場合は、さらにこれに対する準再審(民事訴訟法第349条)申立てが可能と解する余地がありますが、最高裁が(適法と)認めるかどうかは未知数です。

 後者の準再審開始決定確定後の本案の審理を経た上での決定または命令に対する不服申立て方法は、準再審の対象となる決定または命令がどのような法的性格のものであったかにより定まります。
 即時抗告が可能な決定または命令であれば、上で説明しているのと同じことになります。
 その決定または命令が、通常抗告または即時抗告に対するものであった場合は、地方裁判所の決定または命令であれば再抗告が可能です。
 その決定または命令が高等裁判所のものであれば、許可抗告特別抗告のみをすることができます。
 その決定または命令をしたのが最高裁判所であればそれに対する不服申立て手段はありません。
※原決定自体に再審事由があるという場合は、さらにこれに対する準再審(民事訴訟法第349条)申立てが可能と解する余地がありますが、最高裁が(適法と)認めるかどうかは未知数です。

 私に再審の相談をしたい方は、「再審メール相談」のページをお読みください。

 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる「再審請求」でも説明しています。

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