◆短くわかる民事裁判◆
貸金請求:貸金業者からの請求
貸金業者からの貸金請求訴訟が起こされたとき、現実的には、あまり闘う手段がないことが多いというのが実情ですが、実務上あり得るいくつかの点について説明します。
まず、当然のことですが、訴状に記載されている借入を現実に自分がしたのか、実際にした返済が漏れていないかなどの事実関係を確認する必要があります。これは、貸金請求に限らず、すべての訴訟で必要なことです。
貸金請求の場合、自分が借入を始めたときの約定利率が利息制限法の制限利率を超えていなかったかは必ず検討すべきです。そして、最初に借りたときの約定利率が利息制限法の制限利率を超えていた場合、訴状での引き直し計算が、最初の取引から行われているかを検討する必要があります。
いったん完済してその後取引がない期間が何年も続いた後で再度借り入れた場合、最初の借入と一連で計算できるかについては近年は厳しい傾向にありますが、これもそういう事情ならきちんと検討しておく必要があります。
その点については、「取引の分断・一連性:基本契約が1つのとき」、「取引の分断・一連性:基本契約が複数のとき」、モバイル新館の「過払い金請求訴訟の論点」で、詳しく説明しています。
その上で、借入残高の計算が正しく行われているかに関して、いくつかの論点がありますので、「利息の計算方法:借入日の利息」、「利息の計算方法:閏年の扱い」、「借入残高の計算方法」などのページで説明しています。もっとも、これらのポイントで間違いというか正しくない計算がなされていても、大きな違いが出ることは考えにくいところです。
最終取引から5年以上経過しているケースや、裁判を起こしてきた原告が借りた相手ではなく債権譲渡通知も受け取っていないような場合は、消滅時効や債権譲渡の有効性(原告が債権者と言えるのか)を検討してみる必要があります。
それについては、「借金の消滅時効」、「保証会社からの請求」、「債権回収業者からの請求」のページで説明しています。
他方で、支払を免れない事件では、闘っても遅延損害金が増えるだけということにもなりますので、見通しがないときは、強制執行されそうな財産(自宅とか給料とか)があるときは分割払いの和解をする、財産がなくて破産しても特に問題がないなら破産申立をするということを検討する方が現実的なこともあります。
利息制限法については「弁護士に依頼すると借金が減るわけ」でも説明しています。
モバイル新館の 「利息制限法の基礎知識」でも説明しています。
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