◆短くわかる民事裁判◆
請求の趣旨の記載
民事訴訟法上訴状に記載しなければならない「請求の趣旨(せいきゅうのしゅし)」については、法律で定義されているわけではありませんが、原告が求める判決主文の形式で書くことが約束事になっています。
原告の請求が、被告に対して300万円の支払を求めるものである場合、
1.被告は、原告に対し、金300万円を支払え。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決及び仮執行の宣言を求める。
というように記載するのがふつうです。
私が司法修習時代(1980年代半ば)に指導を受けた際には、各項の終わりには句点(「。」)をつけるなと言われましたが、近年はあまりそこは気にされないようです。
仮執行宣言というのは、判決が確定しなくても、つまり相手が控訴しても、直ちに強制執行ができるという制度で、原告としては、実際、相手が控訴したときに控訴審中に強制執行までやることは稀(それに強制執行の対象となる財産がある相手は、控訴とともに執行停止決定を取るのがふつうなので、やろうと思ってもできないことが多い)なのですが、求めておくのが慣例となっています。
訴訟費用の負担については、実際には判決で仮執行宣言がつけられることはあまりないですが、つけることが許されないわけではないので、訴状の請求の趣旨では特に除外する必要はありません。
訴状の請求の趣旨についての説明は、通常この程度ですが、実際の裁判ではもう少し複雑なのがふつうです。そのあたりは別のページでより具体的に説明します。
貸金請求事件の例→「貸金請求の請求の趣旨」
移転登記請求事件の例→「移転登記請求の請求の趣旨」
建物明渡請求事件の例→「建物明渡請求の請求の趣旨」
損害賠償請求事件(不法行為)の例→「損害賠償請求の請求の趣旨」
解雇事件の例→「解雇事件の請求の趣旨」
訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
モバイル新館の 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
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