庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
7号再審事由:虚偽の陳述が判決の証拠となったこと
 「証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。」(民事訴訟法第338条第1項第7号)という7号再審事由では、「証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述」が「判決の証拠となった」ということが必要です。
 「証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述」は、法廷での証人等の証言、本人尋問での発言を指します。
※陳述書に虚偽の事実が記載されているとか、準備書面に虚偽の事実が記載されているというのは、宣誓した上での陳述ではありませんので、7号再審事由でいう「虚偽の陳述」ではありません(ただし、陳述書については、法廷で主尋問の際にここに書かれているとおりで間違いありませんなどと発言するのが通例ですので、その法廷での陳述自体は問題とする余地があります)。
 「判決の証拠となった」は、その虚偽の陳述(と再審の訴えで立証できた部分)が、判決の証拠となっていて、その虚偽の陳述による認定があるかないかで判決主文に影響を及ぼすような場合である必要があります。
それについては、「7号再審事由と虚偽の陳述が判決の証拠となったこと」で説明しています。

 実際の再審事件で7号再審事由について具体的に判断された例、認められた例を以下のページで紹介しています。 
   「7号再審事由の具体的判断:東京高裁1968年12月21日判決」
   「7号再審事由認容例:大阪高裁2014年2月17日決定」
   「7号再審事由認容例:最高裁1968年5月2日第一小法廷判決」

 7号再審事由では、「罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。」といういわゆる「有罪判決要件」(民事訴訟法第338条第2項)も必要です。「有罪判決要件」については「4号〜7号再審事由と有罪判決要件」とそのリンク先のページで詳しく説明しています。
 7号再審事由特有の有罪判決要件となる過料の裁判(民事訴訟法第209条第1項)に関する問題は「当事者の虚偽の陳述と有罪判決要件」で説明しています。
 なお、この有罪判決要件のために、他の再審事由で厳しいハードルとなっている再審の補充性(再審事由を上訴で主張した(が退けられた)、知りながら主張しなかった、知りながら上訴しなかった場合は再審の訴えを提起できない:民事訴訟法第338条第1項但し書き)、再審期間(知った日から30日以内の出訴期間)に関しては、偽造または変造の事実に加えて、有罪判決要件が満たされたとき(さらにはその後有罪の可能性を立証する有力な証拠を入手したとき)に「知った」と解されうるため、有利に扱われることがあります。例えば、虚偽の陳述があったと上訴で主張していても、有罪判決要件は判決確定後に満たされたような場合は、民事訴訟法第338条第1項但し書きによる提訴の制限は働かず、また出訴期間も有罪判決要件が満たされたことを知ってから30日以内になります。それについては、「有罪判決要件と控訴・上告対応」「有罪判決に代わるものと控訴・上告対応」「有罪判決要件と再審期間」「有罪判決に代わるものと再審期間」で説明しています。

 私に再審の相談をしたい方は、「再審メール相談」のページをお読みください。

 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる「再審請求」でも説明しています。

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話