民事裁判をするとき、よくわからないけど「多額の費用がかかる」と思っていませんか。実際にはどんな費用がかかるか、知っていますか。
民事裁判にかかる費用
民事裁判にかかる費用には、おおざっぱに言えば裁判所に納める費用などの実費と弁護士費用があります。
民事裁判では、判決で「訴訟費用」をどちらがどれだけ負担すべきかということが主文に示されます(民事訴訟法第67条)。この「訴訟費用」がおおざっぱに言えば、民事裁判のはじめや途中で裁判所に納める費用です(厳密に言えば、「訴訟費用」には当事者・代理人の出廷日当や書類作成提出費用などの、裁判所に納めない、また「実費」とも言いにくいものも含まれています。そのあたりは「訴訟費用の負担」で説明します)。おおざっぱに言えばこの「訴訟費用」以外でかかるのが弁護士費用ということになります。弁護士に支払う費用の中には、弁護士の報酬のほかに実費が含まれます。
訴訟費用
裁判所に納める訴訟費用の主なものは原告が裁判を起こすときに裁判所に納める印紙と予納郵券ですが、旅費・日当を放棄しない証人を申請する場合の証人の旅費・日当や鑑定を申し立てるときの鑑定費用なども、裁判所に納めることになります。裁判所に納める費用、特に訴訟提起の際に必ず必要になる印紙と予納郵券については「裁判所に納める費用」の項目で説明します。
お金がないために訴訟費用を納めることができないときは、訴訟費用を納めないで訴訟を進める「訴訟救助」という制度があります(民事訴訟法第82条)。訴訟救助が認められると訴訟費用の支払が先送りされ、判決が確定したところで、その判決で決められた訴訟費用の負担に応じて支払うということになります(民事訴訟法第83条、第85条)。訴訟救助については「訴訟費用が払えないとき」の項目で説明します。
訴訟費用については、判決でどちらがどれだけ負担するかが定められ、訴訟費用を裁判所に納めていた側は、判決の定めに従って相手方から取り立てることができます。訴訟費用の負担とその取立については、「訴訟費用の負担」の項目で説明します
弁護士費用
弁護士に支払う費用には、弁護士報酬と実費があります。裁判所に納める費用も、実際には弁護士に預けて弁護士から裁判所に納めることが多いですし、裁判所に納める費用以外にも裁判所の事件記録(特に証言調書等)をコピーしたり遠方の裁判所で裁判をするときの交通費などの実費が生じます。
弁護士報酬については、現在では弁護士会の基準はありません(かつては弁護士会の報酬基準規程がありましたが、公正取引委員会から競争制限だという指摘を受け、廃止されました)。それぞれの弁護士が自分で自分の報酬基準を定めて公表したり依頼者に直接説明するようになっています。弁護士費用については(ほかの弁護士の場合は、今はそれぞれが決めることになっていて、私があれこれ言えませんので)、私の場合については「相談・依頼」「弁護士費用」の項目で説明しています。
弁護士報酬、特に事件を依頼する段階で支払うことになる「着手金」をお金がないために支払えない場合には、司法支援センターの「代理援助」という制度があります。代理援助が認められると、大半の弁護士が定めている報酬基準より低めの着手金が定められた上で、司法支援センターが着手金を弁護士に立替払いして依頼者は司法支援センターに月1万円ないし5000円程度の分割払いをすることになります。司法支援センターの代理援助については「相談・依頼」「法テラス利用」の項目で説明しています。
弁護士費用を相手方に負担させることはできるでしょうか。日本の司法制度上は、「不法行為」という違法な権利侵害があった場合の損害賠償については弁護士費用の一部(ほぼ機械的に損害額の10%)を上積みした賠償額が認められますが、それ以外のケースでは相手方に弁護士費用を負担させることはまずできません。弁護士費用の敗訴者負担(立法論も含め)については、「弁護士費用の敗訴者負担」の項目で説明します。
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