相談の手順

 よりよい結果を出すためにどんな方法があるか、一緒に考えましょう。いい相談をするために必要なこと。

基本は電話+面談

 私が相談を受ける場合、基本的には、まず事務所に電話をしていただき(その時に外出中であれば、事務員さんに私が帰ってくる日時を聞いて、もう一度電話してください)、電話で少しお話を聞かせていただきます。事件の内容に応じて、すぐに相談した方がいいか、相談にどの程度の時間がかかりそうか、どのような書類を持ってきてもらうかなどを考えて、その上で相談日時を調整して相談に来てもらいます。

 コロナ禍の下でZoom等のWeb会議の利用が広まっていますが、私は、嫌いですので、現在のところ、相談や依頼者との打ち合わせには導入していません。リモートでの相談(Web会議)をご希望の方は、それに対応している他の弁護士に当たってください。

 電話だけでは、複雑な話は頭に入りにくいですし、資料(相談者が持っている証拠など)を見ることができません。あらかじめ電子メールやFAXで資料を送ってもらったとしても、話しているうちに別の資料があることがわかってそれを見る必要が出てきたりします。電話での相談というのは、判断材料が十分でなく中途半端な相談になりがちですし、一気に話ができなくてかえって手間がかかったりします。

 法律相談を、法律知識を得る場だと思っている方もおられますが、それなら、今どきはネットで検索すれば(信用性の問題はありますが)無料でより速くわかります。法律相談は、現実に起こっている紛争や法的な困りごとについて、具体的な事実関係を聞き、相談者の話(主張)を裏付ける資料(証拠)がどの程度あるかを見たり聞いたりして、裁判になった場合に相談者の主張が通る見込みがどの程度あるのかを検討して(もちろん、相手のある話で、相手がどのような主張をしどのような証拠を持っているか十分にはわからないことが多いため、暫定的な見通しにとどまりますが)、現実にどう対応していくことが考えられ、また望ましいかというようなことが、中心的なテーマとなるものです。

 こういう話をすると、自分は裁判まではしたくないので、裁判の見通しを聞きたいわけではないという方がいると思います。現実には裁判をしない場合でも、交渉、特に弁護士が入った交渉では、裁判になったらどうなるかを想定してそれに近い線でまとめるのがふつうです。交渉でも、裁判で勝つ見通しがある方が有利になります。交渉もしない場合でも、いざ裁判となったときにどうなるかを予想できれば、安心できたり心構えができます。そういう点から、裁判になったときの見通しは、とても重要なのです。ネットで知識を得るのではなく弁護士に(わざわざお金を払い面談して)相談する価値は、そこにこそあると思います。

 法律相談を有効に行うためには、相談者が関係する書類をできるだけ持ってきてくれることが重要です。そのため、最初にまず電話で、どういう資料がありそうか、どういう資料が必要/あった方がいいかを話したうえで、面談でそれを見ながら相談するということがベストだと、私は思っています。

電子メールでの相談(再審メール相談以外)

 法律相談では、まずは事件・紛争の内容(事実関係)を弁護士が把握する必要があります。その過程では、もちろん相談者の方から話してもらいますが、弁護士の方で質問をして事実関係の詳細な点、重要な点を確認する(詰めていく)場面が多くなります。相談者側の一方的な説明では、弁護士が判断するための前提となる重要な事実がわからないことが多い(それが普通)です。面談や電話であれば、その場で聞いて相談者の答えをすぐに受けられますが、電子メール(ましてやFAXや手紙)では、質問してから答えが来るまでに時間がかかり、そういう状況では弁護士側も気軽に質問をすることもできません。そういう点で、電子メールというのは、法律相談をする手段としては非常に効率が悪いものです。

 しかし、そうは言っても、遠方で私の事務所まで相談に来ることができず、どうしても私に相談したいという方には、電子メールによる相談も行っています。その場合、必要な(私が要求する)資料をスキャンしてpdfファイル等にして電子メールに添付してくれるか、それができない人はFAXで送信してくれるか(基本的には郵送されるのは迷惑です)することを条件に、おおよそのことを聞いた段階で相談料の見積もりをしてあらかじめネット銀行の口座に相談料を振り込んでもらったうえで相談をしています。

 電子メールでの相談を申し込まれる場合、相談の質としては明らかに面談の方が高いこと、電子メールでの相談には限界があることを、予めご理解ください。

再審メール相談

 私は、法律相談はまず電話をいただいてから面談で行うのがベストであると考えていますが、再審の相談については、いきなり電話されても判決の内容を把握できない上、経験上、相談する方が冷静にあるいは要領よく話ができないことが多いので、まずはメールで相談を受けることにしました。再審の相談については、面談の相談は、メールでの相談をした上で、面談の必要がある場合に、事件記録を持って来ていただくということになります。

第1ステップ:相談申込みメール

 最初に、相談専用メールアドレス consultation@shomin-law.com 宛てに、相談の申込みのメールを送ってください。
 そのメールでは、確定判決に対してどの再審事由(民事訴訟法第338条第1項に列挙されている再審事由:メインサイトの「再審事由」のページで説明していますので、そちらをお読みください)を主張したいのか、質問したい事項(できるだけ具体的に)を書き、判決文全文(第1審から控訴審・上告審まですべて)をpdfファイルにして添付して送ってください。
※判決文等は必ずpdfファイル等の電子データでメールに添付して送ってください。郵送されるのは迷惑です。特に返還を要する資料(コピーではない原本)を郵送するのは絶対にやめてください。

第2ステップ:相談料の見積もり

 相談申込みメールを受け取ったら、私は、相談の方向性や見積もりのために確認したいことがあれば、追加質問のメールを送ってご回答をいただき、見積もりができるようになったら、相談料の見積もりをします。

 再審の相談の場合は、最低限判決文を読んで検討する必要があり、再審事由や質問によってはそれ以外の資料も送ってもらって検討する必要があります。またメールで回答するのは、口頭で(話して)回答するよりも多くの労力を要します。つまり、回答する側の労力が、通常の法律相談よりもずっと大きなものになります。
 相談料は、検討すべき資料の量と、質問事項の難易度と量に応じて見積もりますが、最低でも2万円+消費税はいただきます。見積もりを受けて高いと思われるのであれば、その段階でストップしてください。見積もりに対して送金がなければそれで終わり、相談料は発生しません。
 事件記録全部を読んで欲しいとか、判決に判断の遺脱が何かあるのか探して欲しいとか言われると、それに応じる場合、こちらの労力はものすごいものになり、原則としてそのような要請には応じられませんし、どうしてもということになればかなり高額の請求をすることになります。後者の判断の遺脱に関しては、具体的に自分がした特定の主張(「この主張」)について、判断の遺脱があると言えるかというふうに聞いてください。具体的に絞って聞いてもらうほど、回答もしやすいですし、相談の意味があります。
 事件の相手や証人の証言が「虚偽の陳述だ」という相談・質問も、判決文だけでなく証言記録(ふつう、判決文よりもずっと長い)を検討する必要があり、相談料が高くなりますが、その場合でも証言のこの部分が虚偽だと具体的に絞って聞いてもらえば答えやすいですが、「全部嘘だ」とか言われると(感情的になってそういうふうにいう人が、特に電話相談では少なくありません)検討がたいへんで、当然相談料の見積もりが高くなります。
 私としても、相談料を高くするよりも合理的な労力の範囲で対応したいですので、質問事項はできるだけ具体的に絞り込んで欲しいと思っています。

第3ステップ:相談料の送金

 見積もりのメールに送金先口座を記載しますので、その見積もりで相談を希望する場合は、見積金額を送金していただきます。その段階で相談を希望しないということでしたら、そこでストップしてください。
 送金先口座は楽天銀行の口座を予定しています。

第4ステップ:相談の実施

 相談料の送金を確認して、具体的な相談のためのやりとりに入ります。
 メールのやりとりの回数は特に制限しません。相談のために必要なだけやりとりするつもりです。
 なお、相談実施の過程で、必要な書類を電子ファイルで送ることを求めることがあります。
 面談の場合は、相談の進行具合とともにある程度の時間の経過で一定の区切りが付きますが、電子メールでの相談は元々切れ切れにメールがやりとりされることからどこで区切りを付けるかが難しいということもあります。そういう点では、最初に明らかにしていただく質問事項についてそれ相応の回答をしたという段階を区切りとすることになると思います。
 最初の質問事項と違う質問については、その段階で追加料金の見積もりをします。

相談の準備(面談の相談)

 相談に来られる前に、できれば準備しておいてほしいことがあります。個別に事案に応じて、電話で話を聞いた際にお願いすることがあります(例えば、解雇の事案で解雇理由説明書をまだもらってないときは、まず文書で使用者に請求して、できたら解雇理由説明書をもらってから相談ということもあります)が、それと別に、次のようなことは、説明のために、準備してほしいなぁと思います。
 長期間にわたるあれやこれやが積み重なった事件の場合、できごとを時系列に沿って(起こった順番に)整理したペーパー(できればA4の紙1枚か2枚程度。あまり長いと、また、頭に入らない)を作成してほしい。
 多数の人物が登場する場合は、相関図(親族の場合は家系図)を作ってきてほしい。
 不動産の事件等で位置関係が問題となる場合は図面を作ってきてほしい(ちなみに不動産の事件の場合、できるだけ、登記簿謄本を持ってきてほしい)。
 土地や建物などの状況、物の損傷状況などが問題となる場合は、写真と撮影場所がわかる地図・図面などを持ってきてほしい。
 それから、「録音がある」というときは、その録音が重要なものだと思うのなら、書き起こしてきてほしい(全部聞く時間はないし、一部だけ切り取って聞かされてもその録音の価値を正しく評価できるか不安です)。

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